職場にはいろいろな人がいます。優秀な人だけでなく、あまり一緒に仕事をしたくないと思う人もいるでしょう。場合によっては、できれば辞めて欲しいと思うこともあるでしょう。
しかし、そういう人に限ってなかなか辞めない…。
逆に、辞めて欲しくない優秀な人材はすぐにどこかへ行ってしまう…。
なぜ、辞めて欲しい人に限って、なかなか辞めないという状況が生まれるのでしょうか?
辞めて欲しい人が辞めない理由
辞めて欲しい人がなかなか辞めず、優秀な人が辞めていく状況を不思議に思ったことはありませんか?
まずは、辞めて欲しい人に限って、辞めない理由から把握しましょう。
自分勝手で楽な仕事をしている
会社で働く場合、組織のルールを守ったり人間関係を円滑に保ったりなど、いろいろと気を遣うことが多くあります。
気を遣っているので、仕事が思うように進まなかったり、他人に合わせて気疲れしたりなど、ストレスを感じることもあるでしょう。
しかし、辞めて欲しいが辞めない人は自分で勝手にルールを作ってマイペースに作業を進めたり、人間関係を気にせずに言いたいことを気軽に言ったりなどします。
職場で好き勝手な振る舞いをしているので、周囲には迷惑をかけ、自分はストレスなく楽に仕事をしています。
本人にとっては快適な環境のため、なかなか辞めてくれません。
給料だけが目的で割り切っている
職場で好き勝手に個人プレーをしていれば、周囲からは迷惑に思われます。職場に迷惑をかけていると思えば、印象を気にして態度を改善する人が多いでしょう。
しかし、辞めて欲しいが辞めない人は「会社には友達作りをしに来ているのではなく、仕事をしに来ている」「周囲から嫌われても生活のために給与が必要」などと思って、開き直っています。
また、開き直ることで人間関係や印象を気にしなくなり、好き勝手な振る舞いは改善されずに続けられていきます。
他社では通用しない
誰かがミスをすれば、みんなでフォローするのは当然です。
しかし、それぞれ抱えている仕事があるので、頻繁にミスをする人がいると、辞めて欲しいと思ってしまうこともあるでしょう。
能力が低くて仕事ができない人は、能力不足を自覚している場合があります。
また、能力不足なので、転職しても自分の力は通用しないことも自覚しています。
転職しても状況が変わらないので、周囲に迷惑をかけて肩身の狭い思いをしながらも今の職場にしがみついているのです。
ただ、この手のタイプは自分が周囲に迷惑をかけていることも自覚しているので、好き勝手な振る舞いをするタイプと違って、努力や改善する意思を持っている場合があります。
空気を読もうとしない
組織やチームで仕事をする場合、周囲の空気を読むことは円滑に仕事を進めたり、人間関係を保ったりなどするために重要です。
辞めて欲しいが辞めない人は、仕事だけできていれば良いと割り切っていたり、印象を気にせず好き勝手な振る舞いをしています。そのため、そもそも周りの空気を読もうとしていません。
空気を読むつもりがないので態度に改善の意思が見られず、本人だけがストレスフリーで快適に仕事を続けます。
他の社員が先に辞めていく
辞めて欲しいが辞めない人は好き勝手な振る舞いによって快適な状態で仕事をしています。
しかし、その周りで仕事をする人は振り回されて、本来のパフォーマンスが発揮できなくなってストレスを感じるでしょう。
思うように仕事ができなければ、キャリアアップやスキルアップなどの成長の機会が奪われます。
優秀な人材ほど、将来のことを見据えていることが多いです。そのため、辞めて欲しいが辞めない人の振る舞いが原因で、辞めて欲しくない社員が先に辞めてしまうのです。
また、優秀な人材が職場からいなくなることで、辞めて欲しいが辞めない人はさらに快適な環境を手に入れてしまいます。
辞めて欲しくない人が辞めてしまうのは?
辞めて欲しいが辞めない人が職場にいると、辞めて欲しくないと思っている優秀な人材が退職する原因となる場合があります。
また、優秀な人材は能力が高くて選択肢が多いです。選択肢があるので、思わぬ理由であっさりと退職してしまうこともあるでしょう。
では、優秀な人材は、他にはどのようなときに辞めてしまうのでしょうか?
給料面での不満がある
優秀な人材は能力が高いので、仕事で大きな成果をあげます。成果を上げているので、給料は上がっていかないとおかしいです。
もし、働きに見合った給料が得られないと、従業員のモチベーションは下がってしまいます。
また、給料に不満を感じていると、より良い条件の会社が見つかったときにあっさりと転職されてしまうでしょう。
優秀な人材は奪い合いとなるので、給料に限らず労働条件や環境に不満を持たれないようにしなければなりません。
正当な評価がされていない
給料への不満は会社の信頼が失われている状態に近いです。優秀な人材は実績を作り、成績を伸ばしていきます。会社に貢献していれば社内の評価が上がり、給料も上がっていくのが当然です。
そのため、給料が上がらなければ、優秀な人材は正当な評価を受けていないと判断して会社を信頼できなくなります。
また、信頼できない会社で働き続けることに不安やリスクを感じるようになり、信頼できる会社を求めて転職してしまいます。
仕事にやりがいを感じない
優秀な人材は短時間で業務をテキパキこなしながら、どんどん成長していくでしょう。
突出した実力があるので、同僚たちと足並みを揃えた教育や指導をしていると、仕事が簡単すぎてやりがいがないと思われてしまいます。
やりがいが感じられなければ、モチベーションが下がったり、過小評価されているなどと判断されるでしょう。
また、仕事にやりがいが感じられないことで、新しい環境を求めて他の企業に移ってしまいます。
上司や同僚とのトラブル
優秀な人材は能力が高すぎることが悩みのタネになりがちです。能力が高いと頭の回転が早かったり、他の人が思いつかない発想をしたりなどします。
しかし、その考えに周囲がついていけなくて、間違った考えや過去にケースのないアイデアなどと判断されて過小評価されてしまいます。
優秀な人材は自分の仕事のやり方や考え方が正しいと主張することもあるでしょう。
しかし、主張することで上司や同僚などと衝突してトラブルとなり、厄介者のレッテルを貼られる場合もあります。
正しい判断をして厄介者と思われる正当な評価を受けられない状況に、優秀な人材は会社に見切りをつけ、正当な評価をしてくれる会社を探し始めてしまうでしょう。
辞めて欲しい人が辞めないときの対処法
辞めて欲しい人が辞めないと、周囲にストレスを与えたり、優秀な人材を退職させる理由になったりなどの問題点がいろいろ出てきます。
しかし、ストレートに「辞めて欲しい」という伝え方をすると大問題になるでしょう。
また、もし自分が経営者や役員などの立場であったとしても、周りに迷惑がかかっているからという理由で解雇すれば、これもまた不当解雇となり問題になるでしょう。
では、辞めて欲しい人が辞めないときには、どのような対処をすれば良いのでしょうか?
同僚と協力して孤立させる
ストレートに「辞めて欲しい」と伝えてしまうと問題になります。そのため、辞めて欲しい人には、自分から辞めてもらわないといけません。
言葉を使わずに自分から辞めてもらうには、空気を作って察してもらう方法があります。
同僚や職場の仲間と協力して辞めて欲しい人を孤立させれば、社内に自分の居場所がないことや退社を求められていることを察して、自ら退社してくれるでしょう。
孤立させる方法には、無視や悪口を言うなどして、距離を取る方法があります。
ただし、空気を読まないタイプや仕事と割り切っているタイプは、孤立しても何とも思わないので効果が薄いです。
また、職場で人を孤立させるのは職場いじめであり、パワハラになります。実際に事例もあります。
参考:あかるい職場応援団|一連の行為が、労働者を孤立させ退職させるための”嫌がらせ”と判断され、代表取締役個人及び会社の責任が認められた事案
のちに大きなトラブルと発展する危険性があるので、望ましい方法ではないでしょう。
無理な仕事量を振る
この会社ではやっていけないと思わせることで、自分から辞めてもらう方法もあります。
辞めて欲しい人が部下であれば、その部下の仕事の内容はある程度コントロールできます。
高難易度の仕事や無茶な量の仕事量を与えれば、心身が疲弊して自ら退社してくれるでしょう。ただし、過大な要求はパワハラとなります。
また、逆に簡単すぎる仕事ばかり渡したり、仕事を与えなかったりなどする過小な要求もパワハラになります。そのため、この方法も望ましいものではありません。
上司を味方につけて異動してもらう
無理に辞めてもらうと、大きなトラブルの原因となってしまいます。トラブルを避けるには、辞めて欲しい人が部署異動などして、職場からいなくなってもらうという方法があります。
上司に相談して、辞めて欲しい人が異動するように頼んでみても良いでしょう。もし、辞めて欲しい人が異動を受け入れれば、一緒に仕事をする必要がなくなります。
ただし、無理に異動を求めるとパワハラになります。こちらも事例があります。
参考:異動を命じられた労働者が自殺した事案において、使用者の安全配慮義務違反が否定された例
わざわざ異動の提案という遠回しなことをせず、素直に勝手な振る舞いをして困っていると上司に相談し、注意してもらいましょう。
上司に対応を任せることで、辞めてもらいたい人の態度が改善される場合もあります。
転職を検討する
いくら辞めて欲しい人がいる場合でも、無理に退職や異動をしてもらうとパワハラになってしまいます。
パワハラ対策をしている会社は多いので、処罰の対象となって自分の立場を悪くするだけとなるでしょう。そのため、自分が気持ち良く仕事をする現実的な方法は自分が転職して職場を離れることです。
優秀な人材が辞めて欲しい人がいると転職してしまうように、自分も同じ手段を取りましょう。
転職にはいつまでに離職の意思を伝えるのか、仕事の引き継ぎはどうするのかなどのルール
があります。事前に就業規則を確認して、しっかりと転職活動の計画を立てましょう。
もし、転職までしたくないという場合は、辞めて欲しいと地道にコミュニケーションを取り、相手のことを理解していきましょう。
歩み寄ることで、好き勝手に思えた振る舞いにも意味があったことや、どのような考えで行動しているのか確認でき、相手の振る舞いを許容できるようになります。
まとめ
職場に辞めて欲しい人がいるとしても、無理に退職に追い込めばそれはハラスメント行為です。そのため、孤立させたり、無理な仕事を振ったりなどの嫌がらせをしてはいけません。
ストレスでイライラすることもあるでしょうが、まずは気持ちを落ち着けて冷静になりましょう。
どうしても辞めて欲しい人の存在が我慢できない場合は転職を検討しましょう。人間関係は退職理由の定番理由なので、ためらう必要はありません。
ただ、その前に辞めて欲しい人と話し、相手のことを少し理解できるように歩み寄ってみましょう。
話し合いで解決できれば、転職は必要なくなり、相手との仲も良くなるので、適切な方法かつ最良の結果と言えるでしょう。