終身雇用制度が崩壊している状況では、転職機会が複数あっても不思議ではありません。
家族がいる場合には、安定した生活を維持するために利用できる失業保険制度を計画的に利用すれば、不安な気持ちで過ごす期間は最小限に抑えられるでしょう。
ここでは失業保険の待機期間中のバイトなど失敗しがちな失業保険のルールや仕組みについて詳しく解説しています。
失業保険の受給の流れを完全解説!
失業保険は、退職したらすぐに受給できると思われがちですが、実際にはあくまでも保険給付という特性から受給資格の確認と給付申請が必要となります。
正式には雇用保険という名称が正しく、雇用保険法に定められている失業保険給付のことを失業保険と呼んでいます。
お役所仕事で処理は行われるので、手続き方法を知っているだけで、失業保険給付までの期間を最小限に抑えられます。
[参考]雇用保険と失業給付金 退職手続きマニュアル~役所・公的機関に行く前に~ |転職ならdoda(デューダ)
失業保険を受給するには離職票が必須。
離職票の受け渡しについては、勤務先によって対応が違うけど郵送が一般的です。
すぐにもらえない?!待機期間ってなに?
失業保険給付を受給するためには、退職から10日以内に勤務していた会社から送られてくる離職票を持って住民票がある地域の公共職業安定所へ行き、求職申込みを行なった上で離職票を提出します。
受給資格の決定日になる離職票の提出から7日間を待機期間として失業状態にあることを行政側で確認する期間として設けています。
失業保険は契約期間満了退社や会社都合退職であっても、待機期間が過ぎるまでは失業状態にあると認定されません。
ハローワークによって対応は違うようですが、必ずしも7日間連続で失業状態である必要はないようです。待機期間中にアルバイトをした場合には、待機期間のカウントが先送りになるケースがほとんどです。
離職票などの必要書類が整っていてもすぐには失業保険の給付対象にはなりません。待機期間中に例え日雇いでもアルバイトをすると待機期間のカウントが先送りになるので注意が必要です。倒産や会社都合で辞めた場合には、
離職手続きをして待機期間が経過して初回の失業認定を受ければ、すぐに失業保険の給付金が受け取れます。
雇用保険説明会で理解しよう
初めて雇用保険の失業保険給付を受給しようという人にとって、受給条件や方法について自分で調べただけで理解できる人ばかりではありません。
離職票を公共職業安定所に提出した日から1週間から3週間後に開かれる雇用保険説明会に出席して、失業保険給付の受給方法と雇用保険制度の意義を確認しましょう。
雇用保険説明会では、失業保険給付の受給方法だけでなく、失業認定の定義・再就職手当について・不正受給の注意など求職活動を行なう上で必要なことを説明されます。
さらに、失業手当(基本手当)を受け取る資格があることを証明する「雇用保険受給資格者証」が発行されます。
この「雇用保険受給資格者証」には、氏名や生年月日のほか、離職理由、1日あたりの基本手当額、受給期間満了年月日など、失業保険の受給者にとって大切な受給要件が記載されています。
認定日には就職活動を最低でも2回は行う必要があります。(初回認定日は最低1回)
就職活動実績の基準については、雇用保険説明会で説明がありますので地域のハローワークで認めれる基準を確認しておきましょう。
失業保険の決定日に雇用保険説明会の日時が指定されるから出席するようにしましょう。もし、指定れた日時に参加できない場合はハローワークの職員に相談して別の日に変更してもらいましょう。
失業認定日について
離職票を提出し、待機期間が終了する7日後を経過してから、4週間に1度公共職業安定所へ出向き失業状態の認定と失業保険給付の受給を繰り返すことになります。
失業認定日には、原則として公共職業安定所に出向いて失業認定をうけなければなりません。
なぜなら、雇用保険法15条3項により「失業の認定は、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して四週間に一回ずつ直前の二十八日の各日について行うものとする。」と規定されているからです。
失業認定日は、就職活動をしているけど失業状態がつづいていることを確認するためにハローワークに行く日のことを指します。
失業認定日は、離職票を提出した曜日から起算して算出されるので、いつ公共職業安定所へ離職票を提出したかによって失業認定日の設定が変わります。
失業認定日が祝日に当ってしまうと翌週に持ち越されて失業保険給付が先延ばしとなる可能性があるので注意が必要です。
失業保険の受給資格が決定してから7日間が待機期間と呼ばれています。
人によって失業認定日は違いますが「失業等給付受給資格者のしおり」に添付されているカレンダーで確認できます。
また、初回の失業保険は、待機期間が終了した翌日から一回目の認定日の前日までの日数分の支給となり、支給額が少なくなります。
初回に受けることができる失業保険は待機終了から初回認定日の前日までの基本手当日額しか支給されません。
自己都合退職の給付制限期間とは
失業保険の給付制限期間は、自己都合退職や懲戒解雇の場合には、7日間の待機期間に加えて3ヶ月間失業保険給付の受給が制限されるので、離職理由次第では失業保険給付受給開始までの期間が長くなると知っておく必要があります。
失業保険給付は、働く意思があるにも関わらず仕事が見つからないために生活ができない状態を防ぐために設けられた制度です。
失業保険は自己都合による安易な退職を防ぐ狙いがあります。
不正受給を防止するためにも必要な措置として設けられています。
自己都合により退職した場合は、待機期間終了の翌日から3ヶ月間は給付制限期間となりますので、この期間中は失業保険を一切受けることができません。
自己都合退職の場合だと、待機期間や認定日などを考えると収入がない状態が4ヶ月近くかかるから大変。給付制限期間中ならアルバイトをしても失業保険の受給には影響がありません。
会社都合による離職なら給付制限なし!
会社都合で離職した「特定受給資格者」と「特定理由離職者」の場合は、給付制限はなく7日間の待機期間が終了すれば失業保険を受給できます。
会社都合による離職と認められるには、離職票に事業者が記載した場合と、以下のようなケースがあります。
- 事業主が倒産した
- 事業所の移転により通勤が困難となった
- 重大な過失がなく解雇された
- 賃金の3分の1を超える額が2ヶ月以上未払い
- 1ヶ月に100時間を超える時間外労働があった
- セクハラやパワハラなどの劣悪な労働環境
など
会社都合で退職した場合には「特定受給資格者」、病気・出産・介護などの理由で退職した場合には「特定理由離職者」と呼ばれています。
離職理由や雇用期間によって、給付制限や受給できる失業保険の額が変わることもあるので、正しく記載されているかを確認しましょう。
失業保険には有効期限がある!?
失業保険の給付をうけるのも期限があります。退職日の翌日より1年間となっていますので、受給日数が残っていても受給できないので注意が必要です。
例えば、12月31日に退職した場合は、翌年の12月31日が期限となります。
失業保険給付を受ける場合は、退職したらすぐに手続きするようにしましょう。
職業訓練校に入るなら離職日も計画的に
転職時に異業種へチャレンジするために、職業訓練を受けて次の就職へ役立てる制度があります。
最も多い4月入校だけでなく、10月や1月、3月といった時期に開講している日程もあります。4月開講であれば、1月末に説明会があり、願書受付は2月です。
職業訓練校へ公共職業安定所の紹介状を持って入校すれば、卒業までの期間は失業保険給付が延長支給されます。1年コースといった長い職業訓練校に入ると大幅に給付日数が増えることになります。
しかし、年齢や勤続年数の兼ね合いから受給資格が90日しか無いと、受給制限を受けていない限り職業訓練校への入校は難しくなる問題を抱えています。
開講日まで受給資格が継続している必要があるので、職業訓練校への入校を希望するなら、退職理由と離職日を考え抜いた上で調整して臨む必要があります。
早期就職するともらえる再就職手当
再就職手当は、失業保険の残り給付日数を1/3以上余らせた状態で、1年以上の継続雇用期間がある安定した職業へ就職できた時に受け取れる手当です。
細かい支給条件が定められているので、全ての条件を満たす必要がありますが、待機期間を満了した後に早期就職できれば、失業保険給付の残り日数に対して支給されるはずだった失業保険給付の50%または60%をお祝い金として一括で受け取れる制度となっています。
給付の残日数が多いほど再就職手当で支給される金額も多くなりますので、早めの就職活動がおすすめです。
就職活動を積極的に行なう理由になるだけでなく、失業保険給付の支給総額を減らすことができるので、受給者と行政側双方にメリットがある制度です。
早期に生活を安定させるためにも、再就職手当が受給できるように求職活動を続けることが望ましいです。
待機期間中に就活することはできるけど、新しい職場での勤務がスタートすると再就職手当が支給されなくなるので注意!
失業保険受給中にアルバイトしたら?
失業保険受給中にアルバイトを全くしてはいけないと考えがちですが、実際にはしっかりと公共職業安定所へ届け出れば認められることが多いです。
しかし、あくまでも求職活動に影響が無いか役立つものであって、就職していると認められない程度の量に限られます。
まったく影響がないのはどのくらい?
アルバイトを行なっても失業保険給付に全く影響が無い程度とは、再就職したとみなされない範囲の週2回程度働くことやスポットアルバイトを月に数回行なう程度です。
週5日勤務のサラリーマンであっても、休日にアルバイトできる程度の量と考えておけば良いでしょう。
具体的な基準としては、1日4時間未満のアルバイト勤務、または1日4時間以上でも週20時間未満なら影響を受ける可能性は低いです。
ただ、注意したいのは、失業保険の待機期間にアルバイトをすると失業保険の給付に影響がでるかどうかは、管轄のハローワークや担当職員によっても認識が違うケースがあることです。
求職活動中のアルバイトなどの労働についてはの判断は、ハローワークの裁量に任されています。待機期間中のアルバイトを考えている方は、管轄のハローワークに確認してください。
待機期間中のアルバイトやパートについては申請するときに問い合わせをして相談したほうが良いみたいです。
週20時間以内!働きすぎると減額されることも
失業保険給付は、求職活動を行いつつ最低限の生活ができるように支給されるものです。
週20時間を超えてアルバイトしていると求職活動が疎かになると指摘される可能性があります。
1日の就業時間が4時間を超えると、失業保険の30%が就業手当として受給できる制度がありますが、就業手当を申請すると失業保険の支給残日数が減らされてしまうので注意が必要です。
認定日にはアルバイトやパートなどをして収入があった場合には報告しましょう。
※アルバイトは内職や手伝いを含みます。
給付に影響がでない目安として「月に14日未満、週20時間未満」と考えるのが良さそうです。失業保険給付を満額で受けながらアルバイトで給料を得るのもあり。
失業保険がもらえないことってある?
失業保険は公共職業安定所や厚生労働省が具体的に週20時間を超えてはならないと決めたわけではありませんが、週20時間を超えると就職したとみなされてしまうことがあります。
なぜなら、週20時間以上勤務して30日以上継続して雇用される場合には、雇用保険の被保険者となるので失業状態と認められないからです。
雇用保険への加入要件(所定労働時間が週20時間以上で、労働契約期間が31日以上)を満たしていると、給付制限期間明けの失業給付の受給に影響がでる可能性があります。
バイトを辞めた場合には、前回の失業から1年以内という条件はあるけど、残りの失業保険手当をもらうことは可能です。
扶養者が失業保険をもらうとどうなるの?
パートやアルバイトの人が失業保険の給付をうけても、年間収入が103万円以下であれば税法上の扶養(控除対象配偶者)が外れることはありません。
なぜなら、失業保険は所得とはみなされないからなんですです。
しかし、健康保険の扶養(被扶養者)は、税法上の扶養とは違って、失業保険支給額を含めて算定されるので、扶養(被扶養者)から外れることがあるので注意が必要です。
また、保険者によってルールが違うので加入する健康保険の保険者(運営団体)に確認するようにしましょう。
税法の扶養(控除対象配偶者) | 健康保険の被扶養者 |
---|---|
年収103万円以下 (1月1日から12月31日) | 年収130万円未満 ※被扶養者に該当する時点および認定された日以降、見込み収入額で判断されます。 |
[参考]協会けんぽ:被扶養者とは?
ハローワークへの申告は必要?!
アルバイトを行なった際には、失業認定報告書へ漏れなく記入して提出しなければ、不正受給の疑いがかけられてしまうでしょう。
給付制限期間中にアルバイトを終えていれば問題無いものの、登録型の派遣会社を経由してアルバイトを行なうと離職事項証明書の提出を求められることがあります。
待機期間中に日雇いなどのバイトした場合は、待機期間のカウントが先送りになります。こっそりバイトしててもバレないと思うかもしれないけど、バイト先の職場が雇用保険の加入要件に該当するとバレるので注意!
失業保険期間にバイトがばれない方法ってある?!
アルバイトをすると、もらった金額に応じて雇用保険の対象になったり、源泉徴収が引かれる対象になったりします。
こうした雇用保険や源泉徴収税は、バイト先が法律に則って支払った金額に応じて自動的に行うので対処法はありません。
本人の意思ではどうにもならないのですが、以下の条件をクリアしていれば逆にばれないということでもあります。
- 雇用保険の加入条件である1週間で20時間を超えない
- バイト先の源泉税の徴収義務の1日2,900円を超えない
- SOHO的な仕事や個人的なお駄賃をもらう
しかし、アルバイトをしていることがバレてしまうケースで最も多いのが、身近な友人、知人、バイト仲間からの密告だそうです。
不正受給は、バレてしまうと返還命令だけでなく、失業保険給付額に対して更に2倍の金額を追加して納付させられる処分があります。
安易な気持ちでやるとバイトをした分がムダになるくらいの罰則を受けることになります。
失業保険の所定給付日数は退職理由で決まる!?
失業保険の所定給付日数は、退職理由、雇用保険の加入期間、年齢によって決定されることになりますが、とくに退職理由によって期間に違いがあります。
条件によって日数が決まりますが、自己都合により退職した場合を除けば、最低でも90日間は給付日数があります。
また、障害者や就職困難な人の所定給付日数はさらに優遇され付与されます。
]失業保険の基本手当の支給額は退職日直近6ヶ月の給与と退職時の年齢によって決定されます。
自己都合で退職した場合の給付日数
自己都合で退職した場合は、雇用保険の加入期間だけで判断されて所定給付日数が決まります。
また加入期間が1年未満の場合は失業保険の対象とならないので注意が必要です。
年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
全年齢 | 対象外 | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合で退職した場合の給付日数
会社都合で退職した人の場合は、雇用保険の加入期間と退職したときの年齢によって所定給付日数が段階的に設定されています。
自己都合による退職と異なり、準備ができていない状態での離職は生活を維持していくのが難しいと思われるからです。
とくに年齢が高いほど、支出が多く、再就職も難しい傾向にあります。
年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | 対象外 |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 270日 | 240日 |
加入期間が6ヶ月未満は対象外となります。
失業給付には有効期間がある?!
前職で加入していた雇用保険の期間に応じて、失業保険給付を受けられる日数が決まります。
離職日の翌日から1年間が失業保険給付を受けられる有効期間となるので、退職した際には速やかに公共職業安定所へ求職登録と離職票の提出をして受給手続きを行わなければ、受給資格があっても失業保険給付を受けられる日数が減ってしまいます。
失業保険給付の受給資格日数と実際に受給できる日数は、必ずしも一致しないことを知っておくと良いでしょう。
病気・けが、妊娠・出産・育児、小学校就学前の子の看護などは除かれます。
不正受給には厳しい罰則が待っている
雇用保険へ加入している期間が長いと、失業保険給付の受給資格日数が最大360日と長くなるので、働かずに失業保険給付を最大限受けようと考えてしまう人も出てきます。
失業保険給付は、求職活動を行なっても仕事が見つからずに焦ってしまわないように、最低限の生活を営めるよう支給される制度です。
正しく受給している人との公平性を保つためにも不正受給に対しては厳しい罰則が設けられています。
支給停止
失業保険給付の不正受給が行われた日から支給停止措置が取られます。
一度支給停止となると、受給資格日数が残っていても、以後の失業保険給付が行われることはありません。失業保険給付を受ける権利自体が無くなってしまうわけです。
返還命令
不正受給を行なった失業保険給付は、全額返還しなければなりません。不正受給を行なった時点で支給停止となるので、以後受け取った分は全て遡って返還する義務が発生します。
不正受給を行なう以前の分については、正規の受給ですから返還命令の対象となることはありません。
納付命令
返還命令の対象となる不正受給した失業保険給付額に対して、更に2倍の金額を追加して納付する罰則が適用されることがあります。
返還命令と納付命令を合わせると、正規に受給した額の3倍を返還する必要がります。
雇用保険説明会で不正受給時に3倍返しの処分が下されるという説明があるのは、返還命令と納付命令の合計額が正規受給額の3倍となるからです。
まとめ
失業保険給付は、離職票を公共職業安定所へ提出してから7日間の待機期間を経て、4週間ごとに失業認定を受けることで受給できます。
待機期間の7日間にアルバイトをすると、失業状態と認めてもらえないので待機期間はおとなしくしておくことが重要です。
また、受給制限期間中は、生活のためにアルバイトを行なっても構いませんが、受給制限期間が終わるまでに長時間アルバイトは辞めておく必要があります。なぜなら、求職活動をしながらアルバイトをしても支障がないと考えられているのは、雇用保険への加入資格が無い週20時間未満の労働と考えられているからです。
失業認定日は、離職票提出日次第で祝日の影響を受けることから、祭日が少ない曜日を選ぶ計画性も大事でしょう。
転職を考えているなら事前にカードローンくらいは申し込みをして準備しておいたほうがいいかも。少額融資なら審査にも通りやすいから考えてみて。