お金を借りる方法だけなら、何もカードローンに限定する必要はありません。銀行融資などの目的ローンほど敷居が高いものではなく、カードローン並みの気楽さで利用できる方法である「質屋」について知っておきましょう。
「質屋」と聞いてどのようなイメージを持つのかは人それぞれですが、比較的ダーティーなイメージを持っている人も多いようです。
果たしてそのイメージは正しいのかどうか、質屋の「質」というシステム自体について詳しく解説します。
質屋とは?
「質屋」という存在を知らない人もいるでしょうが、質屋とは、日本に古くからある現金借り入れの方法です。
最近の質屋は中古のブランド品の販売に特化しているイメージがありますが、実は昔から品物を担保にお金を貸してくれる業者なんです。
ブランド買取やチケット買取のイメージが強い人も多いかも。
誤解を恐れず超簡単に言えば、リサイクルショップや買い取り店などと同じような存在だと思って問題ありませんが、特徴的な「質」というシステムがあります。
そもそも「質」ってどんなシステム?
質屋の名前にもなっている「質」とは、質草や担保という意味を持ちます。無担保で現金を融資するカードローンとは違って、必ず何らかの物品を預入(質入れ)する必要があります。
質入れした物品の買い取り価格が融資の基準となるため、実際に借り入れできる金額はカードローンよりも低くなってしまうことが多くなります。
質屋だと専門の査定員が持ち込んだ品物(時計やブランドバック、アクセサリーなど)の査定額を決定することになります。
しかし、高額な価値を持った物品を所有している場合は、質期限はありますがカードローンよりも圧倒的な手軽さで現金を借り入れることができます。
また、カードローンの場合には、借入れの際に融資額や借入期間、利息などが契約で決められて、毎月利息と元金の支払いを続けていくことになります。
一方、質契約の場合は、入質日に完済日を決めないので、返済は3か月ごとに利息の支払いだけになります。利息の支払いを続けるかぎり質流れになることはありません。
質屋を利用するケースとして、カードローンと同様に「給料日までお金が足りない」「冠婚葬祭」といった急な出費のほかに事業資金として利用する人も多くいます。
品物を担保にしてお金を借りるので、返済時にはカードローンのように利息がつきます。でも、、、元金と利息が払えなければ、預けた品物は処分されます。ちょっと変わった使い方としては、、、お金を借りるために質に入れるのではなく、倉庫代わりに質屋を利用している人もいるそう
質屋と買取り業者は違うの?
基本的に買取りの場合には、品物と引き換えに代金が支払われますので、品物の所有権は買取業者に移ります。
一方、質屋の場合は、品物を担保に3ヶ月という期限を設定して、お金を貸してもらうことになります。期限内に借りた金額と利息(質料)を支払うと預けた品物は戻ってきます。
また質でお金を借りる場合は、品物を預けるときに来店して手続きをする必要がありますが、買取りの場合は宅配で対応している業者がほとんどなので来店不要で利用できます。
実際に手にする金額は買取りのほうが高値がつきますが、質に入れたときのように品物を取り戻すことはできません。
質屋の場合は、預けた品物がいらなくなった場合はお金を返さなければいいだけなんです。本当に不要なものは買取り業者で現金化するといいです。
どんな品物が質入れできるの?
質屋によって扱っている質草の種類や範囲は異なります。一般的には、貴金属、ゴルフ会員権、電話加入権、金地金、有価証券、一般家電、業務用家電などがあります。
質屋が価値を判断できるものであれば良いとも言えるので、非常に広い範囲の質草が想定できます。
店舗によっても違いはあるけど、時計や宝石やジュエリー、カメラ、パソコン、財布、ブランド品などは共通してOK。
- 定価
- 製造年
- モデル
- デザイン
- 人気の有無
- 新品か中古品か
- 保存状態
- 付属品の有無
- その他
査定では、未使用、使用感がほとんどない状態から、目立った傷や欠損がある状態までランク付けされます。
質入れしてお金を借りる相場は?
品物を質入れして、実際にいくら借りることができるのでしょうか?
質屋では預け入れする品物の査定額に応じて借入れすることができます。
査定額は、買取相場と品物状態で決定されます。買取相場は、定価、モデル、デザインや人気などで買取価格が査定され、品物の状態は、保存状態や付属品の有無がチェックされます。
品薄で人気のある商品は、大幅に査定額が上がることもあるそうです。
どのくらいの時間で借りれる?カンタン質屋の利用手順
質屋に物品を持ち込んでから融資を完了するまでの時間は、持ち込む物品やその価値によっても違いますが、おおむね数分~数十分程度(10分くらいが目安)です。
持参した品物を査定してもらえば、その場でお金を借りることができます。
カードローンの場合、最短30分で審査が終了する場合でも1時間~数時間かかることが多いので、そういった意味では質屋の方が現金を受け取れるまでの時間が短いのが特徴です。
どれくらいの金額を借りれるかは、買取相場と持ち込まれた品物の状態で変わってくるので注意が必要です。一般的に希望する金額は10万円以内のケースが多いようです。
実際に借りる場合には運転免許証やパスポートなどの身分証明書が必要になるが、現金を手にするまで10分もかからないでしょう。
- 品物の金額査定
- 名前、住所などの必要書類への記入と身分証の提示
- 現金と質札の受取
質屋でお金を借りる場合、身分証明書と質草として預ける品物を持参するだけでOKです。
利用可能な年齢は、基本的に18歳以上ですが、一部の業者では独自ルールで20歳以上としているところもあります。
質札とは、預けた品物の詳細や返済期限が記載されたもの。
支払いのときに必要になります。
偽装質屋は絶対に利用しない
質屋を利用する場合には、「偽装質屋」などの違法営業している業者を利用しないようにしましょう。
特に年金生活をしている高齢者を狙って、価値のない品物を質草として預けさせて高額な利息を請求しています。
年金が支給される口座からの自動引落しで高額な利息を支払うことになりますので、生活ができなくなります。
国民生活センターには、こうした営業実態のない偽装質屋に関する相談が多く寄せられているようです。
チラシなどを見て業者に電話を入れると、、、「なんでもいいから質草を持ってきて」と言われるみたいです。偽装質屋のターゲットは年金生活の高齢者。
こんなことを言う業者は100%偽装質屋なので被害者にならないように注意してください!年金を担保にして高額の利息を支払わせる手口です。
違法営業している質屋はトラブルの原因になるので利用してはいけません。
東京質屋協同組合など各地域の質屋共同組合の加盟店なら安心して利用できます。
質屋の利息計算方法で注意すること
質屋を利用して融資を受ける場合は、カードローンと同じように「利息」が発生します。
しかし、カードローンとは明らかに違った仕組みで利息計算が必要になるので注意しましょう。
年利ではなく月利で表示
カードローンの場合、利息は「年利」で表示されています。
消費者金融系ならば18%程度の金利に設定されていることが多いですが、これは、1年間で元金に対して18%の利息が発生することを意味しています。しかし、質屋の場合は「月利」で表示されています。
質屋営業法における上限金利は9%となっていて、一見すると「カードローンよりも低い金利だ」と思ってしまいそうなところです。
しかし、この金利は月利表示であるため、毎月9%の金利で利息が発生するということを覚えておきましょう。
月利9%ということは、10万円の借り入れに対して9,000円の利息が毎月発生するということです。年間では10万8千円の利息が発生することになるので、実質的な年利に直した場合は108%(質屋営業法における上限金利は109.5%)にもなってしまいます。
質屋の利息は消費者金融などの法定金利とは異なり、質屋営業法で上限金利が定められているだけです。貸出金額ごとの利息は店舗で決定することができます。
質屋は、貸金業者のカードローンのように「貸金業法」ではなく「質屋営業法」という別の法律に基づいて営業しています。
月数 | 利息 | 返済総額 |
---|---|---|
1ヶ月 | 27,000円 | 327,000円 |
2ヶ月 | 54,000円 | 354,000円 |
3ヶ月 | 81,000円 | 381,000円 |
ほとんどの質屋が借入れ金額が増えると利率も下がるようです。
以下は関東エリアを中心に展開する大手質屋の大黒屋での利息一覧です。
借りる金額 | 利率(月利) |
---|---|
1000万円以上 | 0.95% |
100万円以上 | 1.25% |
30万円以上 | 1.5% |
30万円未満 | 店舗により異なる |
質屋の場合は、新規の利用者は1ヶ月間利息が無料のサービスが受けれる店舗も増えています。
借り入れ期間は3ヵ月
これは、カードローンが年単位での利用を前提としているのに対し、質屋の場合は基本的には3か月という短期間の利用を前提としていることが関係しています。
短期貸し付けである関係上、カードローンのように年利20%程度の利率では利益を得づらいので、利息制限法や出資法の上限を遥かに超えた高利での貸し付けが認められています。
基本は3か月で完済するか、もしくは質草の所有権を放棄して返済をしないかを選択します。
質の預かり保管期限は原則的には3ヶ月に決まっています。この期間をすぎると質流れとなるので注意が必要です。期間内に返済できなくて質流れになった時点で預けた品物は販売されることになります。
ただ、利息分を支払うことで期間を延長することができます。たとえば、3か月後に2か月分の利息を支払って2か月間延長すると言った感じです。
1日借りても1ヵ月分の金利がかかる
カードローンの場合、利息は日割りで計算されます。10万円を金利20%で30日間借りた場合の利息は1,643円ですが、20日間の場合は1,095円の利息、10日間の場合は547円の利息で済みます。
ところが、質屋の場合は利息の日割り計算を行っていないため、30日間でも9,000円、20日間でも9,000円、10日でも1日でも9,000円の利息を支払うことになります。
ほとんどの質屋さんが翌月の預けた同じ日までを1ヶ月としてカウントするみたいです。利息が発生するタイミングもポイントになりますね。借りた翌日に返済しても1ヶ月分の利息がかかるから注意。
質屋とカードローンの違いって?
このように、質屋とカードローンには様々な違いがあります。一長一短あるため、目的に応じて上手に使い分けていくことが必要です。
そのためにも、カードローンと質屋は何が違うのかポイントを良く理解しておきましょう。
カードローンは担保が要らない
カードローンは、「担保、保証人不要」をウリにしている融資方式です。
いわゆる「フリーローン」という名称の通り、誰の力も何の資産も頼らずに使途自由の現金を借りることができます。
またカードローンでお金を借りる場合、借り手の信用度が高いほど低い金利が適用されたり、借入れ限度額が高くなったりします。
しかし、質屋の場合は物品を担保にすることが前提です。
資産がない状況でお金を借りたいときにはカードローンが便利で、資産がある状況でお金を借りつつ、資産も手放したくないというときは、完済後に資産を手元に戻せるので質屋の方が便利です。
カードローンならWEB完結で来店不要でもできるけど、質屋の場合には担保となる質草を直接店舗に持ち込む必要があります。
質屋なら無職でも借りれる!?
一般的にカードローンなど金融機関を利用するためには「収入があること」という最低条件があります。
つまり、簡単に言えば、カードローンは働いている人しか利用できないサービスなので、無職の人はカードローン契約が不可能(専業主婦の例外は除く)です。
さらに、現在の借入れ状況、過去の返済履歴、収入、勤務先、勤続年数などを信用情報機関で照会して審査が行われます。
ところが、質屋の場合は個人の信用に対して融資を行っているわけではなく、「物品の買い取り価格(評価価格)分の現金を貸し付ける」という仕組みです。
そのため、あらかじめ質草を準備する必要があることや質草の価値までしか現金を借りられないと言ったデメリットはありますが、質草さえあれば無職でも現金を借り入れできるというメリットがあります。
ただ、大黒屋などの大手の質屋さんの場合には、20歳以上でないと利用できないなどの独自ルールで運営している会社もあります。
査定額をアップさせて借入れの金額を多くしたい場合には、持ち込む品物を複数点にするといいです。
複数点を合計すれば、トータルの金額もアップしますし、利息も下がるケースがあります。
単純にカードローンの利息と比較すると、利率は高いけど、、、質屋からの借入れは家族や知人にバレにくいメリットも。質はカードローンのように信用情報をチェックするような審査がなくて、返済が滞っても厳しい催促や取り立てもありません。
利率を定める法律が違う
質屋は、「質屋営業法」や「古物営業法」で管理されています。質屋の利率は質屋営業法によって、「上限金利(日)0.3%、(年)109.5%(うるう年は109.8%)」に制限されていて、これを超える金利を設定している場合は刑罰の対象になります。また、暦月計算9%が認められています。
対して、カードローンは「利息制限法」「出資法」によって上限金利が設定されていています。
利息制限法では、「限度額10万円までは20%、100万円までは18%、100万円超は15%」と段階的に制限されていて、出資法では「上限金利20%」と一律で制限されています。
カードローンと質屋では金利差があるので、借りる金額が少額でも利息の負担感に差が現れます。
あとは、カードローンの場合は、借入の経過日数を日割りで利息計算することも可能。
返済期限や滞納時の違いも注意
カードローンを利用していて遅延や延滞をした場合、すぐに督促が始まるのですが、質屋の場合は、法律上で督促を行うことを禁じられています。つまり、期限までに返済しなかった場合でも一切督促を受けることがありません。
これは、融資を受けるために担保が必要かどうかにも大きく関係しています。カードローンの場合は無担保で融資を受けるため、回収できなかった場合は大きな損失を生んでしまいます。
しかし、質屋の場合は担保があり、なお且つ担保の価値までの融資しか行わないため、現金を回収できなかった場合は質草を回収して補填することができます。
質草の所有権は移ってしまうものの、返済滞ったときのリスクは質屋の方が少なく済むことが大きな特徴です。
質屋では全額返済しなくても利息だけ支払えば保管期間(質流れ)を延ばすこともできます。また、全額返済できなくても少しづつ元金を返済して利息の負担を減らすことも可能です。
全額でなくても利息の負担を減らしたいなら元金を多めに返すのがおすすめです。
返済は店頭で現金払いが基本
質屋の利息部分の返済は3ヵ月ごとに支払うので返済額は一定になるのが一般的です。
質入れした日に借入れ期限を決めることはないので、元金部分についても返したい場合には、元金一括返済になります。
利息だけの返済であれば、店舗だけでなく銀行振込で対応している業者もあります。
また返済をして預けた品物を持ち帰る場合には、免許証などの本人確認できる書類が必要になります。
複数の品物を預けている場合には1点からでも持ち帰ることは可能ですが、点数が減ることで利息が変わることがあります。
まとめ
質屋とカードローンは、似ているようで大きく違った仕組みを持っています。
たとえば、「大切な品物なので手放したくはないけれど、現金が必要」という状況ならば、品物の価値までしか借りられないとは言ってもほぼ確実に融資を受けることができて、なお且つ完済後に品物も取り戻せる質屋がおすすめです。
しかし、「確実に必要な金額を借りられるとは限らないこと」「利息が非常に高いこと」などのリスクがあるため、優先すべきはカードローンだと言えるでしょう。
無利息期間があるカードローンなら給料日前のピンチとか短期間の借入れにも使えます。