身内が突然亡くなり、自分が喪主として葬儀を上げる必要が出てきても、葬儀費用がなければお葬式を執り行うことはできません。
突然喪主になった人にとって、葬儀費用はどれくらいかかるのかはかなり気になる点だと思います。
そこで葬儀の種類や相場のほかに「葬儀費用がない」という状況で、いきなり請求される葬儀代を支払うために試してほしい方法をご紹介します。
葬儀費用の相場ってどれくらい?
自分が喪主という経験をするまで、葬儀代はどれくらいかかるのかという点はあまり深く考えたことがないという人が多いのではないでしょうか。
実際の葬儀になると、葬儀費用はかなり高額になることが多く、日本の葬儀の相場は平均費用で200万円弱にもなります。
経済産業省の実態調査でも明らかになっているように経済的負担はかなり大きなものです。
葬儀には、寝台車、お通夜、寺院などに支払うお布施、葬儀場の利用料など、さまざまな費用が掛かってきます。
葬式では何かとお金がかかるシーンも多く、身内が亡くなって突然喪主になった人には、大きな金銭的負担の請求書が、いきなり飛び込んでくるということになります。
[参考]全日本葬祭業協同組合連合会
葬儀費用は葬儀の種類よって変わる
一言にお葬式といっても、葬儀には様々な種類があり、とり行う葬儀のスタイルによって内容や費用もさまざまです。
現在日本で主流となっている葬儀には、以下のような3つのタイプの葬儀があり、それぞれ葬儀式で行われる内容も、費用も、葬儀に出席する人もかなり異なるといえます。
一般葬
一般葬とは、一般会葬者も含めて従来通りのお葬式をとり行うという形式になります。
一般的なお葬式ともいえるスタイルで、多くの人が別れを偲んでやってくるため、大規模になることが多いお葬式だということもできます。
交友関係の広い人や、慕われていた人物にふさわしいお葬式のスタイルで、遺族や参列者が故人を偲び一緒に食事をするお通夜から始まります。
通夜の翌日になると、宗教や儀礼によって異なる葬儀式、その後故人に別れを告げる告別式となります。
お別れの儀が行われた後は、棺に入れられた故人を火葬場に運ぶ出棺式、火葬場では納の式、骨上と進み、このスタイルが日本の伝統的なお葬式のスタイルの主流になっているともいえます。
メリットとしては、昔ながらのしきたりを守った厳かなお葬式にすることができること、さらにたくさんの人とのお別れを一度にできることです。
その一方で、デメリットとしては故人を偲ぶ暇もなく、遺族は参列者への対応に追われることになる、そして参列者の人数が予想しにくくかかる費用も比較的高いという難点があります。
家族葬
家族葬は親族、親しい友人や知人だけでとり行うお葬式のことを指していて、密葬として扱われることもあります。
家族葬は故人と家族や身内がゆっくりとお別れをすることができ、温かい雰囲気の中で故人を送ることができるお葬式のスタイルだといえるでしょう。
参列者への対応やおもてなしに家族や身内が追われることもなく、落ち着いて故人を送る式を開催することができるのもメリットです。
しかし葬儀式終了後に、自宅に弔問に訪れる客が多くなること、さらにお葬式にどうして呼んでくれなかったのかという連絡を受けることも多いというデメリットもあります。
直葬
直葬は、荼毘、火葬式と呼ばれることもある形式で、火葬場の火葬炉の前に直接親族や友人などが集まり、10分から15分程度の短いお別れの時間を過ごした後、すぐに火葬するというスタイルのお葬式です。
僧侶に依頼することで、火葬炉の前でお経を読経してもらうこともできます。料理や返礼品を用意する必要もなく、最も負担の少ないお葬式のスタイルといえるでしょう。
メリットとしてはやはり簡潔に終わらせることができるため、費用を大幅に抑えることができる点と、葬儀に何日も費やすことがないという点です。
一方でデメリットとしては、お別れの時間が少ないため十分に故人を偲ぶ余裕がない事、また菩提寺がある場合には許可を必要とする点です。
葬儀費用の5割程度は現金が必要
お葬式にかかる費用としては、葬儀費用の半分程度、5割くらいの現金の用意が必要だといえます。
一般参列者や身内からの香典はきますが、香典返しをする必要がありますし、全額を香典でまかなうことは不可能だと考えておきましょう。
さらに葬儀に参列してくれる人の通夜での食事や、その他お葬式では思わぬところでいろいろなお金がかかります。
葬儀費用の半分程度の現金の用意がなければ、資金が不足してしまうという事態になりかねません。
葬儀費用は現金一括支払いが基本
また、葬儀費用は基本的に現金での一括支払いである場合がほとんどです。
現金で一括請求書された時に、手持ちの現金に余裕がなければ葬儀費用を納めることができなくなってしまいます。
参列者の香典や御霊前などのお金は、葬儀全体の費用の3割程度が来ると考え、ある程度の現金の用意をしておくようにしましょう。
身内が亡くなったら遺族がやるべき3つのこと
では実際に身内が亡くなり、お葬式になるというステージにたどり着くまでには、一体どのようなことをしておくべきなのでしょうか。
ここではお葬式の前に、亡くなった人の身内がしておくべきことをまとめました。
死亡診断書を受け取る
逝去した後は、まず担当の医師から死亡診断書の受け取りをします。
その後葬儀社に連絡し、亡くなった人がいるから葬式をしたい旨を伝え、葬儀社に故人の搬送の依頼をしましょう。
故人はエンゼルケアを施され、死化粧をし身支度を整えてもらいます。メイクをしたり傷跡や傷口のカバー、体を清潔にする清拭を行います。
その後、家族と葬儀社と打ち合わせを行い、お葬式の日程やお葬式のスタイル、規模などを決定し、見積書作成などを依頼し費用の相談もします。
後日遺体安置や納棺、白装束への着替えなどを行い、その他の手続きなども順次行っていきます。
亡くなってから7日以内に市区町村に死亡届を提出
死亡届は故人がなくなってから7日以内に、市区町村の行政機関に提出しておきます。死亡届は葬儀社が用意してくれることがほとんどです。
死亡届を提出しなければ、火葬許可書等の発行ができませんので、期日内に必ず提出しましょう。
火葬許可証を発行してもらい火葬する
火葬をするためには、各市区町村からの火葬許可証の発行が必要となります。
この許可証がない場合には、火葬炉で故人を火葬することができなくなるので注意が必要です。
葬儀費用を支払うタイミングは?
葬儀費用の支払いは、葬式が終わった直後から1週間以内に支払うというのが一般的です。
見積書には支払期日が明記されていないことも多いものですが、葬儀後に一括支払いで納めるというのが基本だと考えましょう。
しかし突然の葬儀になった場合、十分な現金が確保できなかった、現金の持ち合わせが足りないということもしばしばです。
そういった場合には、葬儀社によって対応が異なりますが、分割納付や支払いを待ってくれるということもあります。
原則として故人のお金は使えない
亡くなった人の口座にある現金は、すぐに死後すぐに凍結されてしまうため、原則として故人のお金を当てにすることはできないと考えてよいでしょう。
葬儀費用の総額を見て、見積額とは異なる金額にびっくりする、さまざまなオプションが後から付け加えられていてトラブルになるという事が良くあります。
しかし、亡くなった人の現金を当面はあてにできないので、金額面はしっかりと相談して計画的なお葬式ができるようにしましょう。
預金口座は凍結されてしまう
金融機関に預金口座の本人が無くなったことが伝えられると、故人の口座が凍結されます。
葬儀費用としての預貯金であっても、勝手に引き出すことができなくなります。
また死亡した人が残した預貯金は、相続財産として扱われるため、相続税などの手続きなども経ていかなければならないことになります。
亡くなる前にお葬式などに使用することが決まっている場合には、暗証番号や印鑑の保管場所を確認しておくこと、故人に対し了解を取っておくようにしましょう。
故人が生前、自分の預貯金を葬式代として使ってほしいという希望がある場合には、意思が反映できるように、口座のある銀行などに相談しておくようにしましょう。
死亡保険金も受取には時間がかかる
万が一の時の為に、死亡保険に加入している人も少なくないでしょう。
しかし死亡保険金は、葬儀の費用として使用することは難しい場合がほとんどです。
理由としては、生命保険の死亡保険金が入るのは、死亡保険金請求書を保険会社に提出または送付してから5日~1週間後になるからです。
残された遺族に葬儀費用がない場合、お葬式費用の支払いには間に合わないことになります。
葬儀社の中には、死亡保険金が入るのを待ってくれるという会社もありますが、死亡保険金が入るのは葬儀が終ったあという事が多くなります。
葬儀費用がない時の7つの対処法
葬儀費用が用意できないときの対処法としては、どのようなものがあるのでしょうか。
ここからは葬儀費用がない時の対処法についてご紹介します。
葬式を行わず直葬にする
葬式費用が無い場合の、最も簡単な対処法としては、葬式のスタイルを直葬にするという方法です。
お葬式の形式の中でも、最も費用を抑えることができますし、参列者もほとんどいないため参列者へのもてなしにかかる費用も必要ありません。
お葬式のスタイルにこだわらないのであれば、葬式は直葬で簡単に済ませるという方法も効果的な節約方法です。
家族葬にする
家族葬にするという方法も、お葬式の費用総額を大幅に削減することができる方法です。
身内からある程度の香典もありますし、上質なおもてなしや高級な料理などを用意する必要もなく、お金をかけずに故人を送ることができます。
市民葬にする
各自治体が指定する葬儀社を利用した市民葬も、葬儀費用がない人のためには有効なお葬式の手段となります。
各自治体に住んでいる人に、市区町村が提供しているサービスで、住民票を持っていることなどが利用条件になります。
対応や葬儀スタイル、費用などは自治体によって取り扱い方が異なります。
定額サービス&追加料金なしのプランで葬儀費用を抑える
費用をなるべく抑えたお葬式をしたいなら、定額サービスや追加料金なしのプランで葬儀費用を抑える工夫をしてみましょう。
定額プランは家族葬や直葬、一日葬といった葬儀ごとのプランがあります。
またプランには、お葬式に必要な祭壇や棺台、寝台車や運営スタッフの人件費などが全て入っているので追加料金が発生しません。
より自分の理想に合った葬式をお得な費用で執り行うことができます。
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葬儀社のローンを利用する
葬儀社には、葬儀社ローンがあるという場合もあります。
一括支払いが難しい、十分な原因の用意ができないという場合には、葬儀社の中でもローンを組むことができる会社を選ぶとよいでしょう。
カードローンキャッシングを利用する
さらに簡単にまとまったお金を用意する良い方法として、カードローンキャッシングを利用するという手もあります。
キャッシングなら即日融資が可能な場合も多く、すぐに葬儀費用を支払いたい人には特におすすめです。
返済計画もしっかりと立ててから借り入れを行うため、返済で生活を圧迫してしまうということも少ないでしょう。
国や自治体から葬儀費用を受給する
国や自治体が葬儀費用を受給してくれるというパターンもあります。この場合、一定の条件を満たしている必要があります。
総額には程遠いかもしれない金額ですが、少しでも補助金がもらえれば、かなり葬式代の支払いが楽になるでしょう。
国民健康保険の加入者が亡くなった場合
国民健康保険の加入者が無くなった場合には、死亡した時にある程度の保険金が受給されます。
社会保険の被保険者または被扶養者が亡くなった場合
社会保険の被保険者または扶養者が無くなった場合にも、お金が下りることがあります。
届出をする際にしっかりと確認して、受給資格があるか相談してみましょう。
後期高齢者医療制度の加入者が亡くなった場合
後期高齢者医療制度に加入している人が無くなった場合も、申請を出すことによってお金が下ります。
必要書類をしっかりとそろえ、期限内に申請する必要があります。
香典は葬儀費用の補てんになる?
残念ながら、香典だけで葬儀費用を賄うことは不可能と考えましょう。
一般的に香典は、葬儀費用の総額の30%~40%くらいしか補てんできないのが現実です。
大がかりな葬儀になればなるほど、出費は大きくなりますから、香典だけを当てにした葬式をあげることはかなり危険だということになります。
まとめ
葬儀費用がない場合、香典だけでは支払いに必要なお金を集めることができません。
しかし亡くなった人を荼毘に服すまでの葬式スタイルによっては、数十万円~200万円近くのお金が必要となる場合もあります。
昨今の時代の流れによって、葬式のスタイルも様々に変化してきています。
自分の大切な人が亡くなったとき、どんな葬式をおこない、いくらくらいかかるのかを確認しておくのも良いでしょう。
また、実際に葬儀になった場合には、見積書の項目に細かく目を通しておくこと、見積書にない料金が発生しないかどうかを確認しておくことも重要です。